石井光太による壮絶なルポルタージュ本『遺体 震災、津波の果てに』(新潮社刊)を元に、主演には
西田敏行を迎え、『踊る大捜査線 THE MOVIE』シリーズで知られる
君塚良一監督が東日本大震災の内側とその知られざる真実を描いた映画『遺体 〜明日への十日間〜』が2013年3月に公開されることが決定。さらに、モントリオール世界映画祭・ワールドグレーツ部門へ出品されることが発表されました。
――東日本大震災発生後、混乱状況の中、数多くの遺体が発見され、遺体安置所に運び込まれることになった。次々と運び込まれてくる多くの遺体に戸惑う警察関係者や市職員たち。そして遺体の検死作業にあたったのは、地元の医師や歯科医師たちだった。混乱する現場を訪れた一人の男・相葉常夫(西田敏行)は、定年後、地区の民生委員として働いていた。定年前は葬祭関連の仕事についていた。そのため、遺体の扱いにも慣れ、遺族の気持ちや接し方も理解していた。相葉は、数多くの遺体に初めて直面し、動揺している人たちを統率すべく、遺体安置所の世話役として働かせてくれるように、市長に嘆願し、ボランティアとして働くことになった。運び込まれてくる多くの遺体、その遺体、一人一人に優しく語りかける相葉。そんな相葉の姿を見ている市職員たちに、気持ちの変化が起こり始める。一人でも多くの遺体を人としての尊厳を守りながら、遺族のところに帰してあげたい。相葉たち旧ニ中で働く人たちは諦めないで頑張り続けていく――。
主演をつとめた西田は本作に対し、「最初にルポの本を読ませていただいた時、“これを映像化するというのは大変難しいことだろう”と思いました。ご遺族の方々の心情を考えると、劇化するというのは“果たして正しいのかどうか”という判断には非常に迷いました。ニュースの映像などで冷静な被害状況や数値は伝わってくる中、被災された方々の本当の気持ちや真実は、逆に劇化することによって“事実”とは違う“真実”が引き出せるのではという想いが沸き立ってきました。そういった想いがだんだんと大きくなり、この作品の映画化のオファーに対し“これは映画化しても良いものだろう”と、決心に変わりました」と語っており、「“この作品を作って良かった”と思っています。亡くなられた方々の尊厳を生きている方々が守ろうとする想いを表現したつもりですし、出来上がった作品を観て、そういった“日本人の死生観”を描いたドラマといっても過言ではないと思っています」と言葉を寄せています。