ウォーレン・ジヴォン 2003/09/09掲載(Last Update:08/03/31 17:57)
そして彼は本当に風になってしまいました・・・。先月、ニューアルバム
『ザ・ウィンド』(写真)をリリースした孤高のシンガーソングライター、
ウォーレン・ジヴォンが9月7日に亡くなりました。以前に
コチラのニュースでお伝えしていたように、『ザ・ウィンド』は自ら末期の肺癌であることを告白し、癌と戦いながら命をかけてレコーディングされた渾身の作品。このアルバムが世界に発表されたということは、いつかは迎えなければならなかったことだったのかも知れません。
アルバム制作に命を注ぎ、そして最後まで作り上げたジヴォン・・・。きっとミュージシャンとして悔いの無い作品になったのでしょう。午後の昼寝から目覚めずに、眠ったままで静かに逝ったそうです。
映画界では“男の中の男”チャールズ・ブロンソンが亡くなったばかり。ウォーレン・ジヴォンもまた、ジャクソン・ブラウンやボブ・デュランからも愛された“男の中の男”ですが、“ロック界の
サム・ペキンパー”と言う異名は、男性的、男好きすると言う意味だけで無く、“詩的”なと言う意味もたぶんに含んでるのではないでしょうか?
そんな詩人としてのジヴォンがたどり着いた最後の『ザ・ウィンド』の詩世界は崇高ですらあります。これほどまでに“死”と向き合い、“死”を予感させるアルバムでありながら、どこか穏やかな優しさに溢れているのが彼らしいです。 まるで黒人霊歌のような喜びと悲しみが綯い交ぜになった“祈り”を感じずにはいられない「ノック・オン・ヘブンズ・ドア」も数ある演奏の中でも、とても印象深いカヴァーになっています。未だ聴いていない方は、ジヴォン渾身のラストアルバム『ザ・ウィンド』、是非とも聴いて下さい!
心よりご冥福をお祈りします。