小田和正がホストを務め、20年以上にわたり良質な音楽番組として多くの人々に愛されてきた『クリスマスの約束』。その記念すべき初期3作品2001年、2002年、2003年が12月24日(水)にBlu-rayとして発売されることが決定しました。
2001年12月25日。街全体がクリスマスムードに包まれるこの夜、1本の音楽特番『クリスマスの約束』が放送されました。番組はシンガーソングライター・小田和正(当時54歳)がホストを務め、「アーティスト同士がお互いを認め、称えあう」というコンセプトのもとに誕生し、のちに“国民的音楽特番”と呼ばれる長い物語の原点となった夜です。番組は小田和正が、アーティストへ共演を依頼する「手紙」から始まりました。
前略
突然、勝手な手紙を出す無礼を許してください。TBSから、現在あるものとは質の違う「音楽番組」をやれないか、という打診があって考えました。もし自分が作るならどんな番組だろう。あの手この手を駆使、演出して自分の歌を歌えばファンの人たちは喜ぶだろうけど、それは目指すものではなさそうだ。音楽を聴いている人たちはどんなことが起こったら嬉しいんだろう。きっとそれは自分にとっても嬉しいことに違いない。
さらに考えました。この国で僕らのような音楽をやって来た者にとって、まぁ僕にとってだけかも知れないけれど
今大切な事は一体何だろう。で思ったのです。それは同じ時代を生きて音楽を創ってきた人達を認め、愛し、
尊敬することなのではないだろうかと。
それをこの番組で楽しく表現出来ないだろうか。それが出来るなら引き受けてみよう。
これは取りあえず僕の主観でやろうとしている音楽番組です。
偏見を承知で、批難を覚悟の上で、無数にある名曲から一方的に7曲を選びました。
時代を作ってきたステキな音楽たちです。で、あなたの曲をその一曲に選ばせてもらいました。
随分と前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。この曲を一緒に演奏してもらえないだろうか?という
お願いの手紙だったのです。これは「アイツがダメだったらコイツ」という企画ではないし、それではこんな手紙を
大そうに出すことも失礼と考えたのでもし残念ながら、あなたの不参加が決まったら、自分ひとりで演奏するつもりで望んでいます。
勿論出演を断られたとしても、あなたに対する尊敬の気持ちはいささかも変わることはありません。
秋も深まるばかり
風邪をひかぬようますます充実した活動を続けてください。
――2001.10.5 小田和正 しかし、結果は、「誰も来てくれませんでした」。番組冒頭、小田はそう語ることに。それでも小田は一人でステージに立ち、自身の曲と彼らの楽曲を交えて全15曲を披露。音楽そのものに真正面から向き合う、そのひたむきな姿が視聴者の心を強く揺さぶりました。
このパフォーマンスは、長く続く伝説の幕開けとなります。1年後の2002年12月25日放送の『クリスマスの約束 2002』、「次こそゲストが来るのでは」と視聴者の期待が高まるなか、ステージに立っていたのは再び小田一人。ですが、懸命に歌を届ける姿が多くの視聴者と音楽関係者の大きな共感と称賛を集めました。そして、2003年12月25日放送の『クリスマスの約束 2003』で、ついに
財津和夫、
櫻井和寿(
Mr. Children)、
根本要(
スターダスト☆レビュー)、
ゆずが参加し、番組初の共演が実現。彼らとのコラボレーションは、世代を超えた音楽の力を示し、この年を境に『クリスマスの約束』は「年末の風物詩」として確固たる地位を築いていきました。
この物語が、再びBlu-rayとしてよみがえり、あの夜、あの声、あの空気が時代を超えて、2025年のクリスマスに届けられます。
なお、続く『クリスマスの約束2005』『クリスマスの約束2006』『クリスマスの約束2007』は4月22日の発売を予定しているとのことです。
©TBS『クリスマスの約束2001…きっと君は来ない』
©TBS『クリスマスの約束2002』
©TBS / FAR EAST CLUB INC.『クリスマスの約束2003』