今年生誕150周年を迎え、見過ごされがちであった作品にも光があたりつつある
リヒャルト・シュトラウス。この希代の作曲家がホルンやその他管楽器への見識を養うにあたり大きな存在であった父親、
フランツ・シュトラウス。この父子シュトラウスそれぞれの手によるホルン協奏曲を、
ザムエル・ザイデンベルク(Samuel Seidenberg)×
ゼバスティアン・ヴァイグレ(Sebastian Weigle)指揮
フランクフルト放送交響楽団(Frankfurt Radio Symphony Orchestra)が演奏するアルバム
『R.シュトラウス: ホルン協奏曲第1・2番 F.シュトラウス:ホルン協奏曲』(PC10312 2,800円 + 税)が11月7日(金)に発売されます。
R.シュトラウスの知名度の裏で、その父F. シュトラウスはどのような活動をしていた人物だったのでしょうか? R.シュトラウスの伝記を紐解いてみると、F.シュトラウスはバイエルン王ルートヴィヒ2世の治世下でミュンヘン宮廷楽団のホルン奏者としておおいに活躍していたこと、ワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』や『ラインの黄金』といったバイエルン王室で初演されたワーグナー作品のホルン・セクションが彼なくしては考えられなかったことなどの記述から、ホルン奏者として大活躍していたことが覗えます。
本アルバムでソロを吹いているザムエル・ザイデンベルクは、ドイツの名だたる世界的オーケストラでソロ奏者を歴任したのち、2006年からフランクフルト放送響の首席を務めている超実力派。ザイデンベルクの腕前があるからこそ、この複雑な音運びの協奏曲が活きています。気になるF.シュトラウスによる協奏曲は、ハ短調の陰影もあざやかな盛期ロマン派風の作品で、
ウェーバーや
シューマンが描き出してきた浪漫情緒を存分に味わえること請け合い。見過ごせない1枚の登場です。