EP-4の鈴木創士とDJ／電子楽器奏者の森田潤による、仏劇作家アントナン・アルトーの“残酷演劇”に着想を得た作品。アルトーが夢見た“金属の溶解”や“神経を刺激する音”を電子ノイズ、断片化された声、強迫観念的なビートなどで自在に表現している。

国内アーティストの作品を精力的にリリースするアウルウィングレコードが贈る新レーベルからのヴォーカル作品。本作がデビュー盤となった濱明子が、荒武裕一朗のピアノを伴ったシンプルなデュオ編成で親しみやすい歌唱を披露している。

ブルーノートの社長としての顔も持つドン・ウォズが地元米・デトロイトのミュージシャンで構成されたアンサンブルと制作したアルバム。ジャズはもちろんのこと、ソウルやカントリー、レゲエといった多様な音楽性を内包した一枚だ。

ジェームス・ブラウンやヴァン・モリソンとの共演で知られる名サックス奏者が93年にリリースしたライヴ作『Twelve and More Blues』に加え、翌94年にも行なわれたドイツ公演から音源を収めたお買い得な2枚組。

96年に始まったトランペッターの田村夏樹とピアニストの藤井郷子によるデュオの区切りとなる第10作。完全即興ではなく書き下ろした楽曲を中心に構成されており、静寂をも音楽の一要素とした演奏を披露している。

独・ミュンヘン生まれの才媛による2ndアルバム。シンガー・ソングライターらしい細部へのこだわりとプロデュース能力の高さを発揮した一枚で、シンプルなデュオ形式からオーケストラをフィーチャーした壮大な音楽まで幅広く展開している。

本場ニューヨークで活動するヴォーカリストの田中千賀とギタリストの櫻井竜矢によるデュオ・アルバム。お馴染みのスタンダードを多数とりあげており、中でも「Bluesette」はプロ・アマ問わず日本のプレイヤーに愛奏されている。

安ヵ川大樹（b）、市川空（p）、塚田陽太（ds）のトリオが、初のスタンダード・ナンバー集に取り組んだ3作目。躍動感あふれる「In Love In Vain」ほか、クールかつ情熱的なアレンジによりジャズの伝統と現代を融合させた意欲作だ。

イタリアン・ピアニストのギド・サントーニがトリオで録音した2025年の一作。ザヴィヌル、ショーターから坂本龍一まで魅力的なコンポーザーの楽曲を取り上げているほか、ステファノ・アメリオによるプロダクションも注目ポイント。

北海道が生んだニューオーリンズ・スタイルのジャズ・バンドによるアルバム。名は体を表すとばかりにガンボスープの如きごった煮感もありつつ、スタンダードからプレスリーまでの幅広い音楽に丁寧に向き合う真摯さも感じさせる。

心温まるアート・テイタムのピアノと滋味あふれるベン・ウェブスターのテナーが織りなす、珠玉のスタンダード集。テイタムが亡くなる2ヵ月前に録音された作品で、テイタム不朽の名盤だ。

アルト・サックス奏者、アート・ペッパーがマイルス・デイヴィスのリズム・セクションとプレイしたイースト・ミーツ・ウエストの名盤。ヘレン・メリルの名唱で名高い「ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」での、明るい快演が心地良い。

印象的なイントロで始まるタイトル曲に魅せられた方も多いだろう、モダン・ジャズの大人気盤。ケリーの美しいタッチが魅力の作品で、センスよく、ドライヴ感あふれるフレーズが素晴らしい。

フラナガン・トリオの好サポートを受け、オクターヴ奏法とブロック奏法で構成され、ダイナミックにドライヴするウェスの脂の乗り切った時期の作品。ジャズ史上にその名を刻む代表作だ。

ウェス・モンゴメリーがジョニー・グリフィン、ウィントン・ケリーらとともに相性抜群の演奏を聴かせる、ギター・アルバム屈指の名盤。60年代ジャズの魅力が凝縮された、たまらなくホットな仕上がりだ。

エリック・ドルフィーと盟友ブッカー・リトルのインタープレイが堪能できるライヴ音源。火の出るような伝説的演奏を繰り広げる二人をサポートするマル・ウォルドロンの存在も見逃せないところ。

エリック・ミヤシロのオリジナル作としては15年ぶりとなった2025年発表作。本田雅人や川口千里といった錚々たる顔ぶれが参加しているほか、小曽根真もゲスト参加しており、まさにオールスターの共演といった趣き。

キャノンボール・アダレイのリーダー作ながら、実際はビル・エヴァンスの果たした役割の大きい1961年の録音。何と言っても冒頭の「ワルツ・フォー・デビイ」の軽やかなタッチが出色。それだけでも聴く価値のある一枚だ。

詩情豊かな演奏でファンの心をつかむケニー・ドーハムの傑作。クールでエレガントな香りを漂わせ心に残る「蓮の花」などおなじみの名曲を聴くことができる。トミー・フラナガンの演奏も輝いている。

ケニー・バレルがマイルス・グループを支えた各メンバーと共演した1958年録音のアルバム。彼のブルージィで繊細なギターとジョン・コルトレーンのハードかつ美しいテナーの激しいバトルが魅力の一枚。

一聴してそれとわかるサラ・ヴォーンの超絶的歌唱が聴ける掛け値なしの名盤。全編をスキャットで歌いきったタイトル曲は、何度聴いてもジャズ・ヴォーカルのある種の到達点を体現したとしか考えられないインパクトを放つ。

ジャズ・ギターの神様ことジョー・パスによる1973年発表作。スタンダードをギター1本の無伴奏で演奏し、ジャズにおけるソロ・ギターの可能性を見出した。豊かな想像力や超絶技巧など、まさにヴァーチュオーゾ（巨匠）の名にふさわしい傑作。

ジョニ・ミッチェルのジャズ寄りの作品をまとめたボックス・セット。アルバム曲やライヴ音源、貴重なオルタネイト・テイク、1980年の未発表デモなどから、本人が厳選した全61曲が4枚組にわたって収録されている。

コルトレーンの自信に満ちた姿が見出せるプレスティッジ時代の最高傑作。愛奏曲となった「アイ・ウォント〜」は特に素晴らしく、コルトレーンが傑出したバラード奏者であることを示している。

不世出のジャズ・ピアニスト、セロニアス・モンクの1959年発表のアルバム。ソロ・ピアノにおける神出鬼没でミステリアスなフレージングの数々が唯一無二の輝きを放っている。“天才”に触れることのできる一枚だ。