ムラヴィンスキーがドイツ・グラモフォンに遺したチャイコフスキーの三大交響曲は名盤として名高いが、「悲愴」も最高の演奏という評価は未だに揺らいでいない。本作のUHQCDによって、演奏の素晴らしさがいっそう輝くだろう。

村治のデッカ移籍第1弾。武満徹の「12の歌」を軸に据えて、テオドラキスの映画音楽、P.M.デイヴィス、スティングなど、自在にジャンルを行き来して、村治の新境地を拓いたアルバムとなっている。

盛期ドイツ・バロックの5人の作曲家の5作品を収録している。世界を代表する有田のフラウト・トラヴェルソと、鈴木、有田との当意即妙なアンサンブルとで、魅力あふれる演奏を繰り広げている。

チェコの2大作曲家の、弦楽四重奏曲の傑作2曲を収録した一枚。チェコの自然なリズムを掌中に収めたアルバン・ベルクSQの名演が味わえる。多彩なニュアンス、大らかな歌、そしてドラマの構築と、文句なしの演奏だ。

ロストロポーヴィチによるドヴォルザークのチェロ協奏曲。冷戦下の1968年、西ベルリンでカラヤンと共演した録音で、スケールの大きな演奏が繰り広げられている。チャイコフスキーの「ロココの主題による変奏曲」をカップリング。

1960年代後半から70年代前半にかけて完成させたクーベリックによるドヴォルザーク交響曲全集からの人気曲2曲を収録している。名盤としての誉れ高い録音で、BPOにとってこれが初の全集でもあった。

ハイドンの協奏曲の中でも人気の高いトランペット協奏曲は、ハイドン最後の協奏曲。オーボエ協奏曲は偽作と言われている曲、チェンバロ協奏曲は最後のチェンバロ協奏曲で、ピノックの弾き振りで楽しめる。

ヘンデルのために書かれたテキストを用いて制作された、6日間にわたる神の天地創造の物語とエデンの園におけるアダムとイヴを語ったオラトリオ。ハイドン晩年の傑作で、ここではマクリーシュの感動的な演奏が聴ける。

イタリアが誇るバロック・ヴァイオリンの名手、カルミニョーラがフランスの古楽オーケストラと共演したアルバム。ハイドンのヴァイオリン協奏曲3作品を収録。1732年製ストラディヴァリウスの音色も秀逸だ。

「エルディーティ四重奏曲」と呼ばれる6曲からなる晩年の傑作集で、その中から有名な3曲をセレクトしている。後輩たちに多大な影響を与えた作品たちを、アルバン・ベルクQが見事に表現しつくした名盤だ。

ピノックによるシュトルム・ウント・ドランク（疾風怒濤）期の交響曲集から、3曲を抜粋している。まさに疾風怒濤そのものの余蘊推進力にあふれた演奏で、短調の曲などはデモーニッシュと言えるほどだ。

2014年にタワーレコードから限定販売で編集復刻されていたもの。オリジナル楽器によるバロック名曲集で、オリジナル楽器の魅力を十二分にたたえながら。ピノックらしい明快で現代的なセンスを聴かせている。

近代スペインを代表する作曲家ファリャの代表的な二つのバレエ作品とオペラからの2曲をまとめている。いずれも名演として定評のある演奏だ。録音は古いが、当時のデッカの録音の優秀さは、UHQCDでより鮮明になった。

3人のメンバーが交代した新生フィルハーモニクスとしての第1弾アルバム。ベルリン・フィルとウィーン・フィルのスゴ腕とその仲間たち7人衆による、ジャンルを超越した極上のエンタテインメント作品に仕上がっている。

“鍵盤の獅子王”と謳われたヴィルヘルム・バックハウスが、1967年にカール・ベーム指揮ウィーン・フィルと録音したブラームスのピアノ協奏曲第2番。揺るぎないドイツ伝統のピアニズムと、ウィーンの薫り高い響きが織りなす雄大なスケールの名演である。

若きラトルの名演として話題となったアルバム。パーセルの劇音楽の旋律を使って、オーケストラの各楽器の特徴を捉えたブリテンの傑作をはじめとしたイギリス音楽集だ。ラトルの切れ味鋭い音楽が繰り広げられている。

ベーム、ウィーン・フィルのコンビが最も充実していた時期の名演として名高い録音。堅固にしてロマンティックな雰囲気をたっぷりとたたえている。数ある4番の中でも、いつまでも色あせない演奏だ。

チェリビダッケとミュンヘンpo.によるブルックナーの交響曲第6番。数あるブルックナーの中でも出色といわれる名演で、広大なダイナミズムに細部への徹底した彫琢など、チェリビダッケの美点を存分に味わえる。

全曲録音からの抜粋で、作品4から2曲、7から1曲、鳥の鳴き声で親しまれているヘ長調と全4曲を収録している。ピノックの明快な曲作りとプレストンの温かなオルガンが、絶妙にマッチしている。

ヘンデルが関わった最後の版、1754年捨子養育院版を使用している。編成は小さく、圧倒される音量での感動はないが、合唱もソロも高い技術に支えられ、清澄な響きに満ちあふれ、心に染み入る演奏となっている。

オーストリア継承戦争の終結を祝って書かれた「王宮の花火」は、軍楽隊の大規模な吹奏楽曲だった。ここでは、そのオリジナルな編成で演奏されている。華やかで輝かしいこの曲の魅力が全開している。

組曲が三つに分けられたハレ＝ヘンデル版を使用しつつも、旧ヘンデル版の2組曲を採用している。通常の“EC”より編成は大きくしているが、ピノックの統率力と明晰な指揮によって、溌剌とした演奏を繰り広げている。

日本古楽界を代表する木管奏者、有田正広、花岡和生、本間正史と、通奏低音の鈴木秀美らが集った、名盤として今日まで高い評価を得ているアルバムだ。木管特有の温かさに満ちた音色と演奏が心にしみる。

ジョン・エリオット・ガーディナー指揮オルケストル・レヴォリュショネル・エ・ロマンティクによるベートーヴェンの交響曲第5番・第6番を収録したアルバム（92・94年録音）。ガーディナーが目指す「革命とロマン」を体現した演奏である。

カルロス・クライバー指揮ウィーン・フィルによるベートーヴェンの交響曲第5番「運命」（1974年録音）と、第7番（1975・76年録音）をカップリングしたアルバム。どちらもクライバーの名声を一気に高めた歴史的名演である。