現代クラシックを代表する作曲家、マックス・リヒターの代表作『スリープ』の10周年を記念して制作されたアルバム。眠りに落ちる直前の“入眠時幻覚（ヒプナゴジア）”の状態にフォーカス。音の処方箋として眠りや瞑想、集中の時間を支えてくれる。

東京音大卒業後、8つの国際コンクールで第1位を獲得してきた田母神夕南のデビューCD。イタリア、ハンガリーに5年間留学した田母神の渾身のリスト・アルバム。リスト作品の光と影を余すところなく描き出す。

杉山は武蔵野音大卒業後、オペラにリサイタルに活動を広げてきた一方、日本歌曲も積極的に取り上げ、各コンクールでも優秀な成績を収めてきた。澄んだ声と美しい発音、日本歌曲の奥義を極めた、杉山の集大成的なアルバムといえる。

2008年の初のソロ・アルバム以来、常に意欲的な録音を積み重ねてきたノ・イェジンによる、韓国のピアニストとして初の全曲録音。約4年の歳月をかけてじっくりと取り組んできた作品への答えが出ている。

パーセルやヘンデルが登場する前夜、ピューリタン革命前後の時代のイングランド音楽集。日本を代表するリコーダー奏者のひとり、辺保陽一を中心にしたトリオでの演奏は、時代の空気をとらえた注目すべきものだ。

2023年に99歳でこの世を去ったプレスラーが、69歳の時にエマーソン弦楽四重奏団と録音したシューマン･アルバム。才気あふれるカルテットの美点を生かしながら、独・ロマン派が誇るピアノ五重奏と四重奏の看板曲を情熱的かつ瑞々しく表現している。

ドイツ正統派の巨匠ケンプによるドイツ・ロマン派の牽引者シューマンの代表的なピアノ作品を奏でたアルバム。明確にして深いピアニズムで紡がれる演奏は、堅牢な構成の中にファンタジーを湛えており、シューマンと作品に対するドイツ人としての共鳴を感じる。

チャイコフスキーの3大バレエの組曲版をまとめたアルバム。レヴァインは劇場音楽に長けた人だが、ここでは組曲ということもあり、純音楽として、メロディメイカーとして、チャイコフスキーの美質を最大限に生かしている。

20世紀屈指の大ピアニスト、スヴャトスラフ・リヒテルによるアルバム。ヘルベルト・フォン・カラヤンと共演によるチャイコフスキーの協奏曲のほか、聴きごたえあるラフマニノフの前奏曲を収めている。

Everything Classicsシリーズの第3弾は、チャイコフスキーの定番中の定番、ムラヴィンスキーの交響曲第5番。ムラヴィンスキーを聴かずしてチャイコフスキーを語るなかれと言われている演奏だ。クラシック・ファン必聴。

カラヤン、ベルリン・フィルの60年代の録音。共に70年代まで続く全盛期の演奏だ。「悲愴」での圧倒的なダイナミズムと耽美的と言ってもいいメロディなど、カラヤン美学が完成の域に達している。「くるみ割り人形」も絶品。

アイスランド出身のピアニスト、ヴィキングル・オラフソンのドイツ・グラモフォン第3弾となるアルバム。ドビュッシーとラモーの小曲を独自の感性で組み合わせ、その対話を通じて作品の真価、現代性と類似性を炙り出している。

2015年ショパン・コンクールの覇者、チョ・ソンジンが限りなく透明な美音で紡ぐ、気高きドビュッシー・アルバム。現代最高のドビュッシー弾きであるミシェル・ベロフに師事するチョ・ソンジン選り抜きの代表曲を、練り上げた表現で明快に奏でている。

イタリア・ミラノ出身のピアニスト、マウリツィオ・ポリーニによる2枚目のドビュッシー・アルバム。前奏曲集第1巻と「喜びの島」を収録。透明な響きと造型からなる、洗練された演奏が堪能できる。

ピエール・フルニエが1960年代に録音したチェロ協奏曲集。ジョージ・セルとベルリン・フィルの盤石のサポートのもと、気品ある演奏が楽しめるドヴォルザークと、エレガントなハイドンを収録している。

カラヤンが晩年にウィーン・フィルを指揮したドヴォルザークの人気交響曲を収録。ボヘミアの民俗色が濃厚な第8番とアメリカ滞在中の作曲者が祖国への郷愁を美しい旋律で描いた第9番《新世界より》は、ともに日本人の琴線を刺激してやまない名作だ。

ドイツを中心に国際的な活躍を見せたラファエル・クーベリックと、ベルリン・フィルの共演によるドヴォルザーク・アルバム。初めての交響曲全曲録音から、人気に高い第8番と第9番「新世界より」を収録している。

小澤、ボストン響の86年の録音。小澤のフランス音楽は定評があって、このフォーレの管弦楽集も好評だった。フォーレの微妙なリズム感への見事な対応や、和声の陰影への適切な処理など、文句の付けようがない。

アックス、カヴァコス、マという最強トリオによるベートーヴェンの交響曲をピアノ・トリオで演奏するプロジェクト第4弾。過去3作はいずれも新たな世界が拓いたと絶賛された。本作もまた見逃せないアルバムとなった。

バーンスタインは、マーラーの交響曲全集を2種作っているが、この第2番は3度目、最晩年の録音だ。ゆったりとしたテンポで、ニューヨーク・フィルの集中力、緊張度が如実に伝わってくる。名盤と呼んでいい。

バーンスタイン晩年の録音で、ウィーン・フィルとは2度目となる。比較的ゆっくりとしたテンポだが、感情移入の強さが作品を“バーンスタインのマーラー”にしている。ウィーン・フィルの指揮者への共感度も見事だ。

カラヤンが健在だった時の1度限りのBPOとの共演の記録。BPOとの共演も話題となったが、それ以上に演奏が素晴らしさが注目の的となった。「第九」の代表的な録音であり、バーンスタインの最高の代表作でもある。

抒情美溢れるロシアン・ロマンとダイナミックな近代ピアニズムを併せ持った、ラフマニノフのピアノ協奏作品を代表する2曲をカップリング。ラン・ランがゲルギエフ＆マリインスキー劇場管という理想的なサポートを得て、音色の陰影や音楽の変化を自在に表現。

“管弦楽法の達人”レスピーギの代表曲の一つでローマの松、祭り、噴水を題材にした「ローマ三部作」を、世界の小澤と手兵ボストン響が美麗かつ清新に聴かせるアルバム。さらに古雅な「リュートのための古風な舞曲とアリア」第3組曲も収録。

タイトルはさしずめアリスのワンダーランドの世界といったところでしょう。ピアノ協奏曲に「ペールギュント」のピアノ・ソロ版と抒情小曲集を加え、グリーグの独特なロマンティシズムの世界が繊細に描かれている。