ジャズの開拓者、カッサ・オーバーオールのインスト・アルバム。ヒップホップがジャズをサンプリングする従来の構図を逆転させ、ジャズからヒップホップにアプローチ。ヒップホップの開拓者たちの楽曲を崇高なジャズ・スタンダードへと再構築している。

90年代から活躍しベテランと呼ぶにふさわしい存在となったピアニストのエリック・リードによる2025年作。ピアノトリオ編成での「They」をのぞき、ニコラス・ペイトンとエリック・アレキサンダーという手練れの2管フロントを含むクインテット録音。

Yucco Miller名義のコラボ・アルバム『LINK』から約1年弱、名義を入れ替えてのリリースとなる作品。H ZETTRIOの個性をより際立たせ、トリオが築く音楽的構造のうえでYucco Millerのサックスが躍動する一枚だ。

箏奏者の中しまりんとジャズ・ピアニストの後藤魂からなるユニットのアルバム。絵本読み聞かせとのコラボレーションであり、視覚的にも楽しませてくれる物語の世界を余韻たっぷりに感じることのできる楽曲で構成されている。

英国の女性ヴォーカリストによる日本限定アルバム。病により音楽活動が制限された期間を経て制作されたもので、自らを救ってくれた人々への愛をミニマルかつ空間的なアプローチで音にした特別な作品だ。

前衛の世界的アイコンである灰野敬二とDJ／電子楽器奏者の森田潤によるコラボ・アルバム。森田の中央アジア〜中東風サウンドに灰野が即興で声を重ねたり、灰野のソロ演奏に森田がシンセやエレクトリック・ヴァイオリンを乗せたり、貴重な対話が楽しめる。

ジャズ・ヴォーカリストの神田恭子によるデビュー・アルバム。アウルウィングレコードで八面六臂の活躍を見せる荒武裕一朗を相棒に迎え、歌い手に親しまれている「I’ve got you under my skin」などを披露している。

ジャズ・ヴォーカリストの川瀬ゆみによる初アルバム。「バードランドの子守唄」をはじめとする有名曲をピアノとのデュオ形式で料理したもので、そのパートナーには歌伴での評価も高い荒武裕一朗を迎えている。

ジャズ・ヴォーカリストの中村隆次が、同業者からの信頼も厚いピアノの荒武裕一朗を迎えて録音したデュオ作。女性歌手が多い国内ジャズ・シーンにあって、スティーヴィー・ワンダーをレパートリーにできる男性歌手は貴重。

ジャズ・ヴォーカル作品の宝庫、アウルウィングレコードからの2025年発表作。歌い手からの信頼も厚い荒武裕一朗のピアノ伴奏を得て渡辺ゆかりが歌ったアルバムで、「Waltz for Debby」などの有名曲が目白押し。

ジャズ・ピアニスト板橋文夫の押しも押されぬ代表曲である「渡良瀬」。本作は神奈川県フィルハーモニー管弦楽団と金子友紀をフィーチャーして録音された交響詩としての同曲を40分を超える完全版で収録したもの。

EP-4の鈴木創士とDJ／電子楽器奏者の森田潤による、仏劇作家アントナン・アルトーの“残酷演劇”に着想を得た作品。アルトーが夢見た“金属の溶解”や“神経を刺激する音”を電子ノイズ、断片化された声、強迫観念的なビートなどで自在に表現している。

国内アーティストの作品を精力的にリリースするアウルウィングレコードが贈る新レーベルからのヴォーカル作品。本作がデビュー盤となった濱明子が、荒武裕一朗のピアノを伴ったシンプルなデュオ編成で親しみやすい歌唱を披露している。

ブルーノートの社長としての顔も持つドン・ウォズが地元米・デトロイトのミュージシャンで構成されたアンサンブルと制作したアルバム。ジャズはもちろんのこと、ソウルやカントリー、レゲエといった多様な音楽性を内包した一枚だ。

ジェームス・ブラウンやヴァン・モリソンとの共演で知られる名サックス奏者が93年にリリースしたライヴ作『Twelve and More Blues』に加え、翌94年にも行なわれたドイツ公演から音源を収めたお買い得な2枚組。

96年に始まったトランペッターの田村夏樹とピアニストの藤井郷子によるデュオの区切りとなる第10作。完全即興ではなく書き下ろした楽曲を中心に構成されており、静寂をも音楽の一要素とした演奏を披露している。

独・ミュンヘン生まれの才媛による2ndアルバム。シンガー・ソングライターらしい細部へのこだわりとプロデュース能力の高さを発揮した一枚で、シンプルなデュオ形式からオーケストラをフィーチャーした壮大な音楽まで幅広く展開している。

本場ニューヨークで活動するヴォーカリストの田中千賀とギタリストの櫻井竜矢によるデュオ・アルバム。お馴染みのスタンダードを多数とりあげており、中でも「Bluesette」はプロ・アマ問わず日本のプレイヤーに愛奏されている。

安ヵ川大樹（b）、市川空（p）、塚田陽太（ds）のトリオが、初のスタンダード・ナンバー集に取り組んだ3作目。躍動感あふれる「In Love In Vain」ほか、クールかつ情熱的なアレンジによりジャズの伝統と現代を融合させた意欲作だ。

イタリアン・ピアニストのギド・サントーニがトリオで録音した2025年の一作。ザヴィヌル、ショーターから坂本龍一まで魅力的なコンポーザーの楽曲を取り上げているほか、ステファノ・アメリオによるプロダクションも注目ポイント。

北海道が生んだニューオーリンズ・スタイルのジャズ・バンドによるアルバム。名は体を表すとばかりにガンボスープの如きごった煮感もありつつ、スタンダードからプレスリーまでの幅広い音楽に丁寧に向き合う真摯さも感じさせる。

心温まるアート・テイタムのピアノと滋味あふれるベン・ウェブスターのテナーが織りなす、珠玉のスタンダード集。テイタムが亡くなる2ヵ月前に録音された作品で、テイタム不朽の名盤だ。

アルト・サックス奏者、アート・ペッパーがマイルス・デイヴィスのリズム・セクションとプレイしたイースト・ミーツ・ウエストの名盤。ヘレン・メリルの名唱で名高い「ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」での、明るい快演が心地良い。